めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

「健康」という病

「健康」という病 (集英社新書)

「健康」という病 (集英社新書)

8年近く前の本ですが、なかなか的を射ていると思います。
テレビの健康番組に踊らされている方、血液検査の結果に一喜一憂する方は
ぜひとも読んでいただきたいですね。


確かに、疾病の罹患には遺伝子もかかわっていますし
肥満は生活習慣ではなく遺伝子的な部分が関わって痩せられないこともあるし
いくらタバコを吸いまくっても90歳まで生きるような方もいらっしゃいますが
基本的に、適正体重を維持しつつ、タバコは吸わず、お酒もほどほどに
バランスよく食事をとっていればよいのですよ。


それができないから安易に色々な健康食品やら健康番組やらがはやるわけで。
でもそんなはやりが好きな方にも、
この目次を見れば飛びつきたくなるような本ではないかと。

第1章 半健康ではいけないか
第2章 危険因子はほんとうに危ないか
第3章 ダイエットにおける幻想
第4章 スポーツはからだにいいか
第5章 人間ドックは役にたっているか
第6章 薬は効いているか
第7章 ストレスはからだに悪いか
第8章 健康という欲望


念のため付け加えておきますが
ダイエットをするなとか、体を動かすなとか、検診に行くなとか
そういう話しなわけではありません。


著者があとがきで言うように

 からだにいとか、健康にいいというのが、自分に都合のいいものになりがちである。人間は生物としての長い歴史のなかで本能的に食べ物や生活習慣を「からだにいいもの」という基準で取捨してきた。しかし、いまはその本能が鈍ってきてしまった。
 自分で選択するのではなく、医者がそういったとか、テレビでそう言ったという習慣が身についてしまい、健康を自分の責任で考える機会が極端に減ってしまった。食べ物の臭いで腐っているかどうか判断できたものが、賞味期限という定義に頼ることによって、そういう生物としての基本的な間隔をとぎすますことができなくなったのが、現代ではないだろうか。


なんか最近の数々の不祥事を見ていると、そうだよなぁと思います。
まぁ、自分の経験と勘だけに頼ってしまってはいけないのですが。


メディアリテラシーとか科学リテラシーって重要だよなと改めて感じた一冊。
2000年に出された本ですが、科学的根拠に基づいて書かれているので
そのあたりもお勧めです。
インターネットが発達した現在、論文の原著とはいかなくとも
アブストラクトくらいなら誰でも無料で閲覧することができるのだから
メディアや変な情報に踊らされることなく、
自分自身で判断がある程度できるようになりたいですね。


★★★★☆