めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

ザ・プロフェッショナル 21世紀をいかに生き抜くか

4478375011ザ・プロフェッショナル
大前 研一
ダイヤモンド社 2005-09-30

by G-Tools

 借り物をようやく読了。前々から大前さんの本は読みたかったので、縁あって借りましたが面白かったです。買おう。

第1章 「プロフェッショナリズム」の定義
第2章 先見する力
第3章 構想する力
第4章 議論する力
第5章 矛盾に適応する力

 プロフェッショナリズムの定義は、どこかの講義で聞いたなぁという感じでした。講師の先生がこの本を読んでいたのか。はたまた講師の先生と大前さんが同じ方法で定義のための資料を探したのか。それにしてもここで「ヒポクラテスの誓詞」が出てくるとは思いませんでした。そして当たり前のことですが、プロフェッショナルの引き合いに医者が出されることが多いんですよね。

 まあ確かに引き合いとして出すにはいい職業なのかも知れませんが、「医者」を批判してもなぁとちょっと思ってしまいました。「白い巨棟」や「ブラックジャック」を引き合いに出されてもなぁ・・・。大前さんはだめなことを周りのせいにするな、自分で解決しなければって感じだと思うんですが、医療システムに関しては国が牛耳ってるところもあるからなかなか大変かと。でも逆にいえば、国が牛耳ってるからこそ新たなビジネスチャンスなのかも知れないけど・・・。うーん、医療を「ビジネス」ととらえることが果たしていいことなのか、私には答えが出ません。

 それはさておき、部下の育て方というか企業のトップとしての在り方、ビジネス・プロフェッショナルとは?、IT業界での北欧の台頭、議論する力、ロジカルシンキング、EQ、グローバル化・・・。色々と「ははぁ」と面白い話は出てきたのですが、「これって何か聞いたことあるぞ?」と思う話が多かったんですよね。で、この一文を見て納得しました。

 疑問を持つ、自分の考えを言葉に落す、しつこく問い続ける、自分の頭で答えを探すという、当時磨いた志向のエンジンが手法として整理・鍛錬されたのは、東京工業大学大学院やMIT時代に学んだ実験計画手法などの科学的アプローチのおかげです。


ザ・プロフェッショナル 21世紀をいかに生き抜くか(大前健一)


 なんだ。私たちだってビジネスマンとして必要な素養の一部を、しっかり身につける過程にいるんじゃないか。この一文を見た時そう思いましたし、これは研究にだって十分通じる話じゃないかと思いました。「研究=ビジネス」ではないけれど、「顧客のために」を「世界の人のために」と思ったら同じじゃないですか。医学系の研究であれば、エンドユーザーは患者または一般の人です。小売業など中間ユーザーになるのは医者や雑誌の中の人ですかね。部下の育て方や企業のトップのあり方も、研究室における後輩・学生指導や、研究室のトップのあり方に置き換えることが容易です。「知的怠慢」により自分自身の限界を自分で設定してしまうという話も、ビジネスに限ったことではないでしょう。欧米では企業のトップに理系がついていることが多いという話を聞きます*1。文系に理系的な知識をつけてもらうより、理系に経営センスを磨いてもらった方が手っ取り早いから、といわれていた気がするのですが、そうじゃなくて、仮説を検証するために実験や解析を行い、論理思考を駆使するという、分野は異なれど論理思考を駆使して「科学」の真理を追い求める訓練が、ビジネスにおいても十分通用するということなんじゃないかなぁ、なんて思ったりしました。

 というわけで、ビジネスの世界に進むにしろ研究の世界に進むにしろ、今やってる世界で塾長のいう「エベレスト」を目指すことは、重要なことなんだと思います。私も自分で勝手に自分の限界を定めてしまっているので、その思い込みを捨てればまだまだやれることがたくさんあるのかも知れません。

*1:どっかにソースがあると思いますが、ソースなしで