めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

グーグル的思考

4569708196グーグル的思考
早野 依子
PHP研究所 2009-05-16

by G-Tools

 デジタルネイティブ系の話と関連して、グーグル関連の書籍が最近個人的にアツイです。なんか、デジタルネイティブの話にも通じる部分があるし、大前さん系の仕事術関連の本にも通じるものがある、気がします。

 私が「グーグルってすごい!!」って思ったのは、「Web進化論」と「グーグルGoogle―既存のビジネスを破壊する」を読んで大コーフンしたからのですが、やっぱりこの企業凄いですよね。もちろん、Google Mapの、アメリカの軍事施設が表示されなかったり、ちょっと「ん??」って部分はあるのですが、それでも当時の履歴*1見ると大コーフンの熱狂が伝わってきます・・・。そういえば当時のブログには

今、モバイルPCを買おうと考えていて、VistaのHome PremiumにしようかBusinessにしようかとか、OfficeをPersonal PlusにしようかProfessionalにしようかとか、色々悩んでいたりするのですが(詳しい人いたら、相談にのってください!!)、そんなことより、GoogleがOSに参入したらどうなるんだろうなぁとか、思ってしまった今日この頃です。

 で・・・携帯のOSには参入しちゃいましたね。しかもそれをほしいとかおもっちゃってる自分がいます。。。ちなみにこの本は結構難しいと思いますので、グーグルって一体どんな企業??と思う方は、「グーグルGoogle―既存のビジネスを破壊する」を読んでからのほうがいいと思います。

グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する  文春新書 (501)グーグル―Google 既存のビジネスを破壊する 文春新書 (501)

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 本書は色々と実例が出ているのですが、プライバシー的な部分では「ん??」と思うことが一部あります。求職者はどこで自分が検索されるかわからないから、Webに履歴書を公開しろ、とかね。私なんぞ、もうどうせほとんどWebに色々と履歴が載ってしまっているので、Wiki形式で公開しちゃってますけど、自分の名前をぐぐってもそれほど情報が出てこない人が底までやる価値があるかどうかは疑問です。私も最初Webに自分の名前が出始めたときは、怖かったです。どんどん増えていく検索件数が。何言われるんだろう・・・みたいな。もう慣れましたけど。そういう意味では、デジタルネイティブの方がそういった部分示唆的だったかなと思います。Facebookでの情報の公開っぷりに注意を促していたしね。でも、もしかしたらこの本の著者の言い分は、本名でWebに書き込むことの多いアメリカならではの視点なのかなあとも思います。となると、グーグル的な志向のビジネスモデルはあまり日本ではあてはまらないのか??とか色々思ったりしました。

  • 主導権を握っているのは消費者の方である。彼らの声は世界中に流れ、巨大な組織にも一瞬にして影響を及ぼすことができる。
  • 同じ意見を持つもの同士が、どこにいても一致団結することができる。彼らは、我々にとって見方にも脅威にもなりうる。
  • マスマーケットはもはや存在しない。今あるのは、多数のニッチである。
  • 「市場とは対話である」。2000年、インターネット時代の幕開けを予感させた「これまでのビジネスのやり方は終わりだ」(日本経済新聞社)のクルートレイン宣言で表明されたこの言葉は、組織で求められるスキルはもはやマーケティング力ではなく、対話力であることを意味している。
  • 我々の経済の基盤は、希少性から潤沢性へと移行した。もはや製品やその流通を掌握したからといって、それが利益の保障にはならないのである。
  • 今日の市場においては、商品の創造、流通、マーケティングといった過程において消費者の協力を得ることが大きな武器となる。
  • 今日、最も成功している事業はネットワークとそのプラットフォームである。これらは、最小限の素材から最大限の成長を遂げている。
  • 流通ルート、人員、製品、さらには知的財産の所有はもはや成功の鍵ではない。肝心なのはオープンであることだ。

〜前書きより

 自問してみよう。あなたの企業の核は知識か?データか?コミュニティか?プラットフォームか?ネットワークか?あなたの勝ちはどこにあるんだろう?利益はどこから入ってくるだろう?金銭は必ずしもいつも同じ形でもたらされるわけではないことを覚えておこう。

 今こそ、自分の有様を見直してみる時期なのだ。
〜Ⅰ.統治するグーグル P119

 なんというか、まあ私の現在の仕事がほぼ全否定に近い状態なので沿うが(苦笑)。後ほど、私は「任天堂”驚き”を生む方程式」を読むわけなのですが*2任天堂もこの話に全て合致するわけではないんですよねえ。この本では様々な業界において、グーグルだったらどうする?という疑問を投げかけています。製薬・医療業界に関しても同様なのですが、うーん、確かに著者の言うことは患者側からしてみれば納得しますが、エビデンス・ベイストじゃなくなるところが難しいですね。著者は患者の書き込みと言った情報それ自体が、医学的な治療における根拠を提供する上で「バイアス」になることを考えていないので、その辺にちょっと抜けがあるように思います。何かしら治療に不満が多い人とか「この治療が素晴らしかった!!」と、正にも負にも突っ走っちゃってる人だけが書き込みする危険性があるって事です。それは偏った情報であって、その情報を分析する意味がそもそもあるのかどうか、サンプル抽出の問題も出てきますからねえ。全部の患者がまんべんなくネットに書き込みすれば問題は解決すると思いますが、ネットを持たない層とか、ちょっと難しいですよね。そうなると「ネットに接続可能な、特定の治療を受けた集団」の書き込みになってしまうわけで、それが社会的な地位のさだったりしたら、ホント治療成績を見てるだけなんだか、貧困を見ているだけなんだかわからなくなりますから。

 まあ、自分が関わった業界だけでも問題点が指摘できるくらいですから、他の業界も似たようなものなのかもしれません。まあ、確かにもっと公開したほうがいい情報は医療側もあるので、その点に関しては納得しますが。

 ただ、自分達が趣味や「なにか」をやり始めるには色々とやりやすい世の中になったな、と思います。コミュニティの形成や情報伝達が楽ですからね。ネットにさえつながれば、地球の裏側の人にだってほぼコストなしで連絡が取れちゃうんですから。というわけで、最後は戒めもこめて、この言葉で締めくくりましょう。

自分の周りににコミュニティが形成され始めたら、自分がそのコミュニティを所有していると思ってはいけない。コミュニティを所有するのは、そのコミュニティ自体だ。

 色々突っ込みどころも満載ですが、自分の業界を振り返る意味もこめて、一度読んで見ると面白い本です。他にも出版とか教育とか不動産とか色々と突っ込んでいただいています。

*1:あ、ここにはないです。そのうち移植しようと思ってますが。

*2:任天堂をあとに読んで、レビューを先に書いた