めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

仕分け雑感

 最先端の科学・技術のおこぼれにあずかっているのと、周りに研究者が多いこと、そしておのずと友人は「若手」と呼ばれるたちばなことが多いこともあって、今回の仕分け、仕事の休憩時間にテキスト実況中継サイトを覗いたりしています。喫煙者はタバコ吸いに10分外に出て、喫煙者同士の会話を楽しむんだから、10分間、無限大に広がる外の世界とつながることを許してほしい。

 まあそれはさておき、仕分け自体がネット上で公開されたことは、非常に大きな意義があったと思う。マスコミを通さなくても一般人が見られたんだから、実況もできちゃうんだから、録音もできたんだから、あっという間にまとめサイトができちゃうんだから。

 削減も、ある程度は仕方ないと思います。仕分けの項目をそもそもどうやって決めたのかとか、他にも無駄はあるんじゃないかとか思いますけど、日本の財政が赤字なんだからある程度の予算削減は仕方のないことだと思う。ただ・・・若手関連の予算が削られていくことに非常に悲しく思うし、削られる理由も口をあけてしまう理由が多かったり、お役人さんのプレゼン力不足が目立ったりと、なんていうか、そもそも仕分けの結果とか仕分け以前に問題があるのではないかと思うような部分が多いです。

 科学・技術や研究がこれほどまでにかるんじられてしまった*1背景には、研究者自身の説明不足と博士のキャリアパスの多様性のなさがあると思う。大学院生がアウトリーチや積極的に外に出ることを嫌う教官は未だに結構な割合でいますが、そうやって外に理解されない状態を作ってきたから、成果の見えないから削減って結論を出されたのかもしれないと思いました。あとは、使えるとか使えないとかいういいかたってあまり好きじゃないですが、「使える」博士が行政や政治にもっといれば、事態は変わっていたのかもしれない。これも研究者コミュニティの雰囲気としてアカデミアをあきらめると負け組っぽい感じの雰囲気があるから、なかなか他のキャリアパスが見つけにくいのかと思います。最近はそうでもないですけどね・・・。

 私は縁あって、大学院在学中いくつかの研究アウトリーチ活動に携わりました。私の元ボスはこう言いました。「あなたがこういった活動に取り組むことで、我々の分野の宣伝になる。分野の宣伝になれば、将来的に良い人材がこの分野に来る。だからどんどんやってください。」と。そして、ちょうど1年ほど前には「よく、研究室内だけで固まって学生を囲ってしまう教官がいるけれど、うちはどこにだしてもいいようなちゃんとした学生教育をしている。どこの誰がうちのゼミに参加しても、恥ずかしくないことをしている。」と言いました。そう、言い切れるだけのことをしている研究室がどれだけあるのでしょうか。そう、言い切れるだけの度量のでかいボスが、どれほどいるのでしょうか。

 多分もう、役人や仕分け人はわかってないとか、そういう愚痴だけを言って、研究だけしているのでは済まされない世の中になってきたんだと思います。若手がその前の世代のツケを払うのかよう、研究だけしててもポストがないのにもっとやることあるのかよう、とか思ったりもしなくはないですが、仕方ない。この世代の宿命なのでしょう。だとしたら、どうにかするしか、ない。

 ある意味、これまで行動してこなかった研究コミュニティにとって、起爆剤にはなっていると思います。おこってってしまったことは仕方ない。いかに生かすか、がこれから研究コミュニティに属するものに求められているんだと思います。

 眠いのでつらつらと・・・このへんで。

*1:私は少なくともそう感じました。