めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

キャリアセミナーを終えて補足―これからの時代を「個人」として生き延びるために

 というわけで、誰が対象だったのか正直会場を見渡す余裕がなかったのですが、若手研究者対象らしいキャリアセミナーの講演してきました。思った以上に緊張して早口で伝わらなかったと思うので、ここで補足。SNSにも書きましたが誰も見ていないようなので、使い慣れているはてなダイアリーで忘備録。

 今までのキャリアセミナーは講演者自身のキャリアを話していたようですが、そんなの話したって誰の役に立つかと言われたら「へー」で終わってしまうと思ったので、これからのPhD取得者、研究者、技術者が、会社や大学や研究所といった「組織」の生き残りではなく、「個人」として生き残っていくために、グローバルな世界で個人として戦っていくために、少なくともしておいたほうがいいことをプレゼンしてきました。会社に雇われようが、ひとりで事業を起こそうが、大学に残ろうが研究所にいようがやっておくべきことの基本的な部分は同じだと思っています。

 これからそれぞれの国自体がどうなっていくかわからない時代ですし、企業はもちろん、地方公共団体だって役所だってどうなるかわかりません。さらにどんどんどんどんグローバル化されていきます。そういう世の中で、「個人」として生きて伸びるために、できることはやっておいたほうがいいと思います。これをやれば生き延びられるという保証はないのですが、少なくともやらないと生き延びられない気がします。

1)名刺は交換するだけじゃ意味が無い

→名刺を交換したら、ぜひ発表の感想やお礼メールを。自分の第六感で「この人はちょっと・・・」と思う場合はしないことも多いですし、今ではあまりに人の輪が広がりすぎたので全員にはメールを送っていませんが、貰いっぱなしにしないことは大切です。名刺交換→メールが縁で仕事の話が来たりすることは実際ありますし、他の組織の方にも顔と名前を覚えてもらっていたりするのはこの名刺交換後のメールのお陰です。ただし、半分くらいは帰ってきませんので、レスがなくても凹まないように・・・。まあアカデミアだろうが民間だろうが、名刺渡したら翌日メールくれる人はくれるし、何もしない人は何もしません。でも、少なくとも自分を覚えておいてもらうためには必要なことだと思っています。あと目上の方と交換したときは儀礼的な意味もあるかも。

2)SEO管理はちゃんとしよう

→自分の名前で検索したとき、どのサイトが出てくるかということはとても大事です。私の場合、英語でも日本語でも、自分の業績まとめページ、ResearchMap、ResearchGateのいずれかが出てきます。企業も含め、採用担当者は検索エンジンで検索することもあるそうですから、まとめページを作っておくと親切ですし印象もいいと思います。特に英語で作っておくことが重要だと思います。あと、企業にいても、公表できる業績があるなら、まとめサイトつくっておいていいと思いますよ。所属組織の事情もあるでしょうし、実名でブログやれなんてハードル高いことは言いませんから、自分の意見表明が必要のない業績の部分で「自分は何者なのか」を世界に発信しておくことはとても大事です。所属自体を全世界に公表しちゃいけないことって、よっぽどの国家機密に関わる人以外はないとおもいますからねえ。

3)社会性は身につけたほうがいいと思う

→私自身とりえもないので、ここで他の人と差別化を図っている「つもり」です。特に私が今いる分野は、チームで動くことが多い分野ですし、外の方ともコンタクトを取らなければなりませんから、自分勝手にやっていたらプロジェクトがうまく進みません。自分ひとりでしかやらない研究をずっとしていくなら良いのですが、今の時代そうも言ってられないと思います。私は「研究者は社会性がないから研究者なんてやってるんだ」っていう意見が大嫌いです。博士課程在学中の私の恩師は、「それは大天才にしか許されないことだ」と常々おっしゃっていました。その通りだと思います。不必要に他人と馴れ合う必要もありませんが、社会性のないことが自慢だとも思えません。確かにコミュニケーション能力という曖昧なものを企業が欲しがるようですが、挨拶、提出物の期限厳守や開始時間の厳守、報・連・相ができるのは誰かと働く上では大切なことで、できないことが自慢になるとは全く思いません。

4)就職報告など

→これは自己の存在を覚えておいてもらうのもそうなのですが、お世話になった方への礼儀でもあるかと思います。連絡とりたかったのに実は異動していて連絡が取れない・・・って何かチャンスを逃していると思いませんか?だから私は自分が登録するMLには大体報告メールは送っています。ちなみに報告はがきは出身ラボの常識でほとんどの方が職が変わったり所属が変わるたびに連絡してくださいます。私自身は2009年の就職時には200枚、2010年の転職時には前職でお世話になった方がとても増えたので400枚だしました。

5)Pay it forward (恩送り)

→今回のキャリアセミナーも、自分のキャリアの説明だけしても良かったんですが、上記4点は私が周りの方や上の先生方から教えていただいたことです。自分だけのものにして自分だけ頭一つ抜きでてもいいんですが(苦笑)、教えていただいたことですし、みんながHappyになって欲しいので、今回お話ししました。私がお話しして実際実行する人は、そんなに多くないような気がしますが、実行した方は実行して手応えを感じたらぜひ周りの人にも教えてあげてほしいなと思います。

 ・・・うーん、このあたりの話ってTwitter上とかでは1年以上前から研究者&大学院生界隈で議論になっているような話だったんですが、知らない人もかなりいて、あとから感想聞くと「かなり刺激的だった」って話です。当日は終了後「ぽかーん」とされてしまって、結構凹みました。私は1年近く前から普通にやっていることだったので刺激的って意味が理解出来ないけど、プレゼン技術の問題かな・・・?プレゼン技術をあげなければ・・・。