めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

警官による殺害が精神的健康に与える影響

黒人を警官が殺害することを見ると、黒人の精神的健康に影響を与えるという研究。

そもそもアメリカにおいて黒人は警官に殺害されるリスクが白人よりも3倍高く、武装解除すると実に5倍も高いんだそうだ。もうそれだけでなんかあっけにとられてしまうんだけど・・・。それで、その殺害現場を見ることがどのように精神的健康に影響するかを確かめた研究なんですが、これまた結構難しい・・・。

そもそもすごいのは、これは独自調査をかけているのではなく、データベース同士を連結させて検討していること。一つはUS Behavioral Risk Factor Surveillance System(BRFSS)で、これは回答者の人種、性別、年齢、教育歴に関する情報を抽出するのに使っていて、警察官による殺害事例については、Mapping Police Violenceというデータベースを使って、犠牲者の年齢、人種、性別、武装の有無、殺害場所に関する情報を抽出しています。BRTFSSはどうもサーベイランスに精神的健康についてのインタビューが含まれているっぽく、その回答も利用している感じですね。すげえ、そのデータベース・・・。

曝露因子としては、BRFSSの面接日より直近3ヶ月間に回答者が居住する州で発生した警察官による非武装の黒人の殺害件数、主要アウトカムはBFRSS面接の過去1ヶ月間に精神的健康が「不良」であった日数。その結果、回答者が居住する州における非武装の黒人の殺害事例が1件増えるごとに、回答者の精神的健康が不良であった日数は0.14日増加。この殺害事例による影響は,発生後30~60日の時点で最も大きく、この期間においては1件増えるごとに精神的健康が不良であった日数は0.23日増加。で、白人についてもこの研究では解析しているのですが、警察官による非武装の黒人の殺害に伴う精神的健康への影響は白人には認められないんですねえ・・・。グラフ見ると、非武装解除の白人の殺害についても、白人には影響が認められず、黒人には認められていて、これは自分たちもそうなってしまうリスクが大きいという潜在的な恐怖なのか、それとも黒人自体が人種的に何か精神的な脆弱性を持っているのか・・・という点が気になるところです。

Police killings and their spillover effects on the mental health of black Americans: a population-based, quasi-experimental study.
www.ncbi.nlm.nih.gov

日本語は、医療関係者だとこちらでよめるっぽいですよ。
ds-pharma.jp