めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

研究者の社会性

 数日前、Twitterでちょっとだけ話題になった。というか私が反応した話。「社会性がないから研究者をやっている」という研究者の発言を受けて。そして今日の出来事を受けて、読んだ本の感想も受けて。

 「研究者の社会性の話。万に一人の大天才ならなくても許されると思う。が、そうじゃなければある程度の社会性は大切だし、身に付けるべき。私の持論。もとい恩師のひとこと。」

 これは、恩師の教えでもあるし、私の持論でもある。それに、いわゆる「使えない」博士が大量に出来てしまう背景には、「研究だけやっていたら何をしても許される」という甘い考えを持つ博士号取得者を増産してしまったところにもあると思う。最近ビジネス関連の書籍をやたら読み漁るようになって、それは大前さんの書籍を読んでからさらに加速されているんだけど、博士号を取得するまでの5年って、ビジネスパーソンで言う自分の基礎を見つける5年なわけで・・・。時間にルーズだったり、常識的な服装が出来なかったり、頭がぶっ飛んだ色していたり、そういうのって本当の天才にしか許されない気がする。そんなので評価されないほどのオンリーワンかつナンバーワンである人しか、許されないと思う。それはそれで弊害があるんだろうけど、よく、アメリカで天才的な子どものことをgiftedといって優遇するし、giftedにはその才能を伸ばすべく特別な教育が施されるけど、そういうのと一緒なんじゃないかなと思う。

 幸いなことに、私が派遣されていた研究室は、臨床系の人も結構出入りしていたし、ボスが結構そういうことを気にする人だったし、歴史も長かったし、秘書さんもそういうことを気にする人だったし、先輩方もちゃんとしていたし、色々な要因が重なって大学院にいたけど社会人としての力というか基礎というか礼儀というかそういうものをたくさん仕込まれた気がします。思いがけないところで役に立ったのが創部50年をそろそろ迎える、出身大学の出身部活でした。武道系ということもあって、先輩との接し方とか行動とかお礼状とか、そういうのみっちり仕込まれた。あれは当時はいやいやだったけど、本当に良かったと思う。

 で、今日注意されたことというのは、「締め切りは必ず守ること。そのために上の人に何か見てもらうときは余裕を持って見せに行くこと。」。当たり前のことなのですが、周りを見ているとできていない。そして出来ていないから安心してぼーっとしてちょっと気を抜いてしまった私は、今日も月末提出のとある書類のチェックを頼んだのですが、ぎりぎりになってしまい、元ボスに注意を受けました。ホント私が余裕がないので、ぐうの音もでませんし、結構へこみましたが、でもこういうところって本当に大事。自分がどの程度その人のことを大切に思っているか、信頼関係を築くためにも大事。安心しきってゆるんでしまうと、こうなってしまう私ですが・・・。それをわざわざ注意してくださる元ボスには本当に頭が上がりません。注意されなくなったらむしろ終わりだ。その関係に甘えていてもいけないんですが。だから私も上記のような発言をしておいて、社会性があるわけでは決してない。そこは、否定できない。もしかしたら研究者コミュニティではまだいいほうなのかもしれないけど、下を見たってきりがない。
 
 で・・・・。ここまで色々あげてきたけど、これって「社会性」なのですか?実は単なる「常識」なんだよな、と思う。つまり、社会性がない=常識的なことができない、ってことなんだろうか・・・・。つまり、目上の人を思いやるとか、自分を売り込むとか、周りと気持ちよく仕事をするために必要なことだと思うのですが、これができないということはつまり、目上の人を思いやらず、自分も売り込まず、周りと気持ちよく仕事をしなくてもよい・・・ということで・・・・。やっぱり天才だけですよ、やんなくていいの・・・・。

 あとは分野にもよるのかなとも思います。フィールドワーク系は現地の人とのコミュニケーションが大切なので、ある程度礼儀とかわきまえてないと協力してもらえないし、チームで動く場合はお互いの意思疎通がないとデータ調査とかあまり進まなくなっちゃうし。逆に言えば一人で研究していても大丈夫な分野の方がこういうことにはうるさくないのかな・・・。でも学際的なコラボをやるときは大切だよな・・・。

 というわけで、博士号取得者の教育に関わる人は、最低ラインの「締め切りを守る」とか、「TPOにあわせた服装」とか、「ある程度のお礼状とか挨拶状」とか、「懇親会でコミュニケーションをとる」とかそういうの、軽んじるようなことを発言してはいけない気がします。むしろこれからの研究は異分野融合や学際領域が増えてくるから、むしろ社会性のある人が研究をすべきなんじゃないかと思う。

 まとまらないけど・・・。私もまだまだです、って話です。