めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

アゴラ雑感

携帯百景(ケイタイヒャッケイ)

 10月31日から11月3日まで、何しに実家に戻っていたかというと、祖母の見舞い、両親への内視鏡検査の報告(+顔見せて安心させる)、と、このサイエンス・アゴラでした。

 色々個々のイベントに対して感想はあるのですが、全体をまとめると「もったいないなあ・・・」というのが感想です。あ、もちろん面白かったですよ!面白いから3日間も行っちゃったんだし。以下長くなりますので気になる方だけどうぞ。

全体的な感想

 もの凄く面白いシンポジウムとかあったし、しかも豪華ゲスト!!なんていうのが結構あったんですけど、プログラムが重複しているせいなのか、宣伝していないからなのか、がらがらなんですもの・・・。Twitterの中継である程度はフォローすることはできるのですが、携帯しか持っていけなかったし、プログラムの重複は本当に困った。何度も重複みつけて「えー!!これこの時間だったの!?」という確率は高かったです。引っ張り出した友人も「アゴラ?何それ?おいしいの?」って感じで全然知らなかったし、「知り合いいないと行き辛いね」と言っていました。まあ、それでも初日行ったら面白かったようで、「最終日行く?行くなら一緒に行きたい!」と申しており、最終日も行ってきましたが。なんつーか、それなりにこの世界は見てきたつもりでしたが、やっぱり最初から/当事者として、頑張っている人たちの発する内輪感にどうしても、入りにくさを感じてしまいます。

 私は、割と色々な分野を転々としていて*1、畜産→医療/研究アウトリーチ→ビジネス*2と来ているのですが、それぞれの分野にやはり「新参者の壁」とか「資格の壁」っていうような見えない壁は存在するんですよ。ある程度は仕方ないと思う。でも、中にずっといると多分気がつかない。きっと意識はしていないんだろうけど「自分達は頑張っているんだよ!」の、内輪で盛り上がっている感が、どこの分野にも多かれ、少なかれ、ある。やみくもに全てを受け入れていたらそれこそ学会や分野やコミュニティの意味なんてなくなるから、それは決して悪いことばかりではないんだけど、それでも、なんていうか、ある種全ての人に開放されていいはずのアゴラでも、それは感じてしまうのが残念でなりません。

 その疎外感は、プログラムの重複だったり、イベントが行われている場所だったり、宣伝の少なさだったり、ターゲットの不明確さだったりと、多分本当に些細なことなんでしょうけど*3、だからこそ、勿体ない。

実は初回にも足は運んでいたのです

 初めて行った未来館が初回のアゴラだった気がします。そのときの感想、旧ブログにアップしているかな?と思いましたが、エントリーはしていなかったようです。でも、思い出すのは変な疎外感ばかりだなー初回のアゴラ。キャリア系のイベントをこわごわ覗いてあまりにシュウカツルックな人たちにびびり、会場を後にし、なんかのシンポジウムをちょっと覗いてあまりの場違いさにびびり、リチャード・ワイズマン氏の「Mind Magic」を見物して、同時通訳に眠気を催し最後の数の不思議に歓声を上げたのが思い出。なんか、最後のショーはともかく、知り合いいないと楽しめない感があって、こわごわ眺めていたのですが、今プログラムを見返すと「こりゃ無理矢理でも参加しておくべきじゃん!何この豪華ゲスト!」・・・と思わずにはいられない・・・。あの頃の自分は、研究にも自信がなくて、将来にも自信がなくて、今も自分自身に自信がないけれど、もっとうちにこもっていたので、突進する勇気はなかった。SAもやっておらず、科学コミュニケーションなんて言葉もその時知ったくらいだから、その「場」にいっていただけ、もの凄い有期のある行動だったんだと思う。

 研究だけしか知らなかった当時からしたら、アゴラの概念も科学コミュニケーションの概念も、はっきりいってびっくりするくらい新鮮だったし、こんな業界がそもそも存在して、研究以外のキャリアに関してシンポジウムのようなものが開かれているなんて、アゴラのページを見るまで知らなかった。でも、キャリアイベントはD1が潜り込めるほど気軽な感じではなかったし*4、他のシンポもえらい大人がなんか議論してる・・・って感じでした。

さて、それから月日は流れ・・・

 4年後の今回は、元SAで東京にいる友人も後輩と行くというし、某塾の同期で東京にいる友人に「こんなのあるけど行かない?」と聞いたら、「何それ!行く!」というのと、まあこの界隈の知り合いが色々な関係で増えたし・・・ちょっくら・・・と行ってきました。

参加したイベントは以下。

 ついでに感想、リンク、その他写真も入れておきます。

  • Art, Brain & Communication! -芸術と科学の接点-

 これは、なんていうか思っていたのと違いました・・・。アーティストの方の絵も素晴らしかったし、むしろどこかに映像展示して欲しいくらいのものだったんですが、トークは「飲み屋での個人的なお話」って感じで途中で友人と出てきちゃいました。その後どうなったかわからないけど、ファシリテーターがもっと介入しても良かった金と思います。

  • 体験試乗〜燃料電池車で、ちょっとそこまで。

 これは面白かったです。乗せてくれた方が一緒に行った友人の質問攻めに紳士に応えてくれていた。4日間を通してやってなかったのが残念。平日の月曜日は除くとして、3日間やったらよかったのに!

携帯百景(ケイタイヒャッケイ)

  • サイエンス•プレゼンテーション2009「科学の鉄人」

 1グループしか見られませんでした。でも面白かった。審査員をつける、ということで7階のホールだったんでしょうけど、色々な人に見てもらうって考えると、1階のオープンスペースとかもっと人の入りが激しいところでやった方が面白かったと思う。他の見学もあって時間も足りなくて、全部見られなかったのが非常に残念。

  • 「mini セルフェスタ2009」展示

 自分のDNAを採取しました。そしてうにの卵採取も見ました。更に細胞融合も挑戦しました。DNAはあまりうまく取れなかったけど、面白かった。「バナナでやるといっぱいもやもやとれますよ〜」と言っておきましたww

 これはこちらのHPをどうぞ。個人的には感染症すごろくに目からうろこ。1日だけしかやっていなかったようで、Twitterで大絶賛したのに空回りしました。すみません、フォロワーのみなさま。でも、これ考えてみると「がん罹患すごろく」とか「循環器疾患すごろく」とか「生活習慣病すごろく」できちゃうわけですよね!!胎生期からの影響も言われているし、本当に人生ゲームにしたら面白そう・・・。ちなみに、食事バランスの奴もありましたが、あれは私たちが創ったほうが秀逸だ・・・。きっと・・・。*5

  • シンポジウム「これからの科学コミュニケーションを考える」

 こちら、少々参加。ResearchMapは確かによいのだけど、欧米の同様の研究者SNSであるResearchGateや、ビジネス現場の同様のサービスであるLinkedinと、どうやって共存していくかが課題かなと思いました。ちなみに私はResearchGateは1年ほど前に、Linkedinは数ヶ月前にすでに登録して、科研費のIDがないので、ResearchMapは誰かに紹介してもらえないと入れないので登録しておりませぬ。

 あとは、山梨の天文台の方のお話。しばらくプラネタリウム、見に行ってないなあと思いつつ、「プラネタリウムは時間を超えられる*6」というようなフレーズに、きゅん。

  • “ツタエルコト”はどこにある!? −科学コミュニケーションと学術コミュニケーション

 こちらは、id:min2-flyさんのまとめエントリーが本当に秀逸です。主催者的にはずれはないだろうなと思っていましたが、思った以上に面白かった。これも平日だったせいかお客の入りがもったいない感じでした。逆に言えば平日の中途半端な時間なのによくあれだけ入ったって感じもするのですが・・・。

 データ共用って実は疫学・公衆衛生学の分野が医療系では一番進んでいるのではないかと思います。これらの分野では国の統計情報を利用しないと研究自体が成り立たないのと、質のよいコホートを立ち上げるためには膨大な研究費が必要なため、データを共用していこうという方針が諸外国ではすでにあることがあげられます。まあどちらかというと「ナショナルデータの共用」という部分からスタートしている感じですが。ソーシャル・セキュリティナンバーで国外に転出しない限り死亡情報をマッチングさせることができる*7アメリカや、全疾病登録*8が完備されている北欧の一部の国なんかに比べて、日本はナショナル・データの共用が非常に遅れています。個人情報保護法の整備や、国民総背番号制の番号の有用な利用がそもそもできていないから。非常に問題。国民総背番号制がうまく活用していたら、そもそも薬害肝炎とかの問題も早期に解決していたように思います。

 実験系では実験環境の問題等外国と異なることが良くあるそうで、それが共有する場合問題になるそうですが、その「違い」から疾病の原因の仮説を立てる公衆衛生では問題にはなるというよりも、研究対象ですからね。

 このシンポジウムに関しては出会いどころか新たなつながりも見つかったりして発見があったのと、結局歴史は巡っていくのではないか、これからサイエンスがどうなっていくのか、色々興味ある部分なのでそのうちどこかで取り上げられたらなと思います。

  • シンポジウム「世界のトップをめざすには〜日本の研究教育環境を考える」

 これは、最後の東大の村山先生の話が面白かった!!アメリカの寛容さって凄いと思いました。たとえある州で犯罪者になっても、他の州に行ったら犯罪歴が帳消しになったり、突然金融関係の会社から6倍くらいの年棒でオファーがあったり*9、研究環境にしてみても、村山先生がいた大学では、助教レベルでも、その研究者が1年間でどれだけ研究を進めたか、どんなグラントを取ったか、どんなことに力を入れているのか、分厚いレポートを毎年書くっていうあたりに実際のアメリカの研究環境の層の厚さを実感させられました。そりゃ、日本の大学、負けますよ・・・。

 これも、面白いのに観客が少ないのが本当に残念。某塾でグループワークで論じたことと似たようなことが言われていたけど、さすが長年研究の世界周辺で生きてきた方の話は重みや厚みを感じました。全体的にとてもいい話だったので、もし映像として取っているんだったら、公開して大学院生に聞かせたい。そして大学院生の授業としてグループワーク等で取り上げて欲しい。そう思います。

 これ、最終日のメイン(笑)。面白かったです。前にいた親子連れ、子どもが怖いシーンで予想通りギャン泣きして微笑ましかった。そりゃーあの部分の映像は怖いよ・・・。これも、思った以上に会場が空いていたのが残念なところ。

*1:あまりばらすと個人が特定されるので適当にごまかしますが

*2:うわー!!大雑把すぎ!!

*3:あれ?些細なことか?

*4:まあ、皆さん真剣ですからね・・・

*5:残念なことに手作り感いっぱいなのですが

*6:確か昔の空を写すこともできえるし、色々な季節の星空を写すことができるからという流れだった気がする

*7:確か

*8:全死亡じゃないですよ!!全疾病「罹患」ですよ!!

*9:アメリカの物理学者の大くは金融関係に行くそうです