めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

<じぶん>を愛するということ

4061494562<じぶん>を愛するということ (講談社現代新書 (1456))
香山 リカ
講談社 1999-06-18

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 初めての香山リカさんの本。意外と読める(アマゾンのレビューを見る限り、割とこの本はあたりっぽいけど)。なぜ購入したのかはよくわかりません。ただ、未読本の棚の一番上にあったから。

プロローグ:「ほんとうの私」はどこにある?──「私探し」の時代
1−「もうひとりの私」を求めて──サブカルチャーとしての多重人格
2−「かわいそうな私」の物語──ストーカーとアダルト・チルドレンを考える
3−「癒し」の正しい選び方
4−「アイ・ラブ・ミー?」──〈じぶん〉を愛するとはどういうことか?
エピローグ:その後の私の「私探し」

 この目次を見てわかるように、「私探し」から、サブカルチャー、ストーカー、新興宗教、オタク、アダルト・チルドレン・・・などなど・・・・色々な側面から「私探し」について描いてあるわけですが、「へえーアダルト・チルドレンって『アダルト・チルドレン・オブ・アルコホーリックス(大人になったアルコール中毒者のこども)』ってことなんだ・・・」ということがわかったり*1、「情報発信」とかはやりの(!?)「サイエンス・コミュニケーション」とカブる部分で気になる部分が少々あるなど、どちらかというと本筋とは離れた部分で興味をひく部分が幾つかありました。ここに引用したいけど長いんだよな・・・。電子書籍だったらクリック一発なのかもしれませんが(いや、コピー防止の観点からコピーは出来ないかな?)。

 マスメディアでものを書く仕事をするときの私は、精神医学の世界よりは一般の人たちの世界に近いところに自分を置くよう、心がけているつもりです。会社にお勤めする女性がまったく関心が持てない「鬱病の脳内アミンに関する最新研究」などを一方的に紹介するよりは、「失恋のこころの傷はどう癒すの?」といったテーマに答える方がいい。そう思っています。
 でももちろん、そういうわかりやすい話題を通して、自分自身が興味を持っている精神病理学精神分析学の話もしていきたい、とも考えています。たとえば「失恋」の話だったら、(中略)
 そして、ある時点までは、一般の人たちも、こちらが提供するやや専門的な話題にも関心を持っていてくれていたような気がします。つまり、入り口は自分の身近な体験だとしても、それをきっかけに「フロイト超自我論」とか「バリンとの基底欠損説」といった理論を「知」として学んでいこう、という姿勢が、多くの人にあったのです。そのため私自身も、「いま個人的にいちばん興味のあることについて、自分自身でも学びながら書いていく」というよいかたちで執筆を行うことが可能でした。
 ところが「私探しの時代」がはじまると、事態は大きく変わりました。
 その変化をひとことで表すと、一般の人たちはもう、いまの自分に直接、関係ないような精神分析や精神病理の基礎的な知識には、関心を持ってくれなくなったのです。(後略)

 この本のキーワードは前編にわたり「自分探し」なので、自分探しに関連付けられて入るのですが、顧客のニーズは変わっていっているんだな、それをちゃんと感じ取らないと、情報を発信しても受け取ってもらえないんだな、とちょっと思った部分でした。

*1:不勉強で申し訳ないです