めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

淡々と

 先月末、私の1つ下の後輩がめでたく博士の学位を取得しました。

 「後輩」とはいえ、年は私の方が下で、しかもその方は働きながら、小さいお子さんを育てながらの学位取得でした。職場が近いし割と理解があり、ご家族のバックアップもさることながら、仕事・家庭・学位取得を両立させるのは、本当に大変だったと思います。ただでさえ仕事と学位だけでも大変なのに・・・。(ついでに言えば半期短縮しての修了でした)

 ご本人は「いつも周りに迷惑かけて・・・」と恐縮していましたが、そんなことはありません。その頑張りに、私はどれだけ励まされたか。

 彼女は、淡々と、自分のできることを本当に淡々とこなしていました。仕事が忙しい時もお子さんが病気の時も色々あったと思いますが、そういうことを愚痴るわけでもなく、理由にするわけでもなく、与えられたラボでの仕事を淡々とこなしていました。言われたことをこなすだけではなく、プラスアルファもいれて。本当に大変だったと思いますが、周りに当然のように助けを求めることはせず、適切な時期に適切な人に適切なだけの助けを求める姿も勉強になりました。そして、そんな彼女だからこそ、職場でも私の出身ラボでも評価されていました。

 女性であることを卑下することもなく、鼻にかけるわけでもなく、利用するわけでもなく、自然体で、淡々と仕事をこなしていく彼女の姿には何度励まされたかわかりません。彼女がちゃんと職場でも出身ラボでも評価されていたことが、私の励みにもなりました。こうやって淡々と仕事をこなすことでついてくる評価というものが、ちゃんとある、というのは励みでした。

 社会人院生にも色々な方がいます。ロールモデルとして本当に見習いたい人もいれば、反面教師にしかならない人も、正直います。いくら大学院生が社会経験がないから頭でかっちだなんだと言われても、ストレートで上がってきた人のほうが尊敬できることだって多々あります。まあよくある例として「社会人で忙しいんだから常駐する若い院生や教員が手取り足取り助けて当然」と思っている人とかね。正直在学中「えー・・・・」と思った例は社会人経験なしの人だけじゃないですから。だから安易に社会人経験必須という流れは私は反対です。でも、彼女のような例があるからこそ、社会人学生は必要だと思うし、大学院の多様性が維持されて欲しいと思います。

 そして、彼女のようなロールモデルが身近にいたという自分も幸せなことだったと思います。これから仕事をする上で、女性であることを卑下もせず、鼻にかけるわけでもなく、利用するわけでもなく、淡々とやっていけばいいんだ、と私自身が考えるようになったのは、彼女の影響が大きかった。その姿を身近で見る機会がなければ、考えなかったと思います。

 ラボに行ったらもうその頑張る姿が見えないのは寂しいですが、これからも違う場所で頑張って欲しいと思います。