「科学者の楽園」をつくった男―大河内正敏と理化学研究所 (日経ビジネス人文庫) 宮田 親平 日本経済新聞社 2001-05 by G-Tools |
とある講義で勧められた本。勧められたのは、考えてみれば半年以上前なんですよねえ。絶版だから、とAmazonで中古を見つけて買ったのですがどうも、文庫版が出ているっぽい感じです。勧められたのは以下の本。文庫版は名前が変わっただけであまり変わらないよう。
科学者たちの自由な楽園―栄光の理化学研究所 宮田 親平 文芸春秋 1983-07 by G-Tools |
それにしても、感銘を受ける人というのは、進められる本が面白いんですよね。うちのボスしかり、上司しかり、この本を勧めてくれた講師の人しかり。
それはさておき、いや〜いいなあこんな研究所、と思いました。今の実情はわかりません。でも、基礎科学をやる者にとっては、大河内さんが目指したものは、まさに楽園だったでしょう。基礎科学から端を発した研究の特許で研究費を稼いで、好きな研究をする。「末は博士か大臣か」と言われた、科学者の姿は理研の科学者たちの姿だったのかもしれません。日本は、いまだに基礎科学の重要性が理解されず、応用ばかりに目が行ってしまいがちです。アメリカが、基礎科学の重要性に気づき、大戦前にロックフェラーをはじめ、様々な研究所を建て、あそこまでの科学立国になったにもかかわらず、日本はいまだに基礎研究は重要視されませんよね。世間からも、国からも、研究者自身も、ともかく「即、金になる研究」ばかりに目が行ってしまっている気がします。分野の垣根を越え、自由に研究ができた最盛期の理研を気づきあげた大河内さんは、今の日本を見てどう思うのでしょうか。