めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

野生の風(再読)

野生の風 WILD WIND (集英社文庫)

野生の風 WILD WIND (集英社文庫)

―その時思った。僕らは生まれる前から、今や、この壁の前で、こんな風にして出会うことが決められていたんだとね。その瞬間に、今まで起こった辛いことも、理不尽な経験も、死んだ女房や赤ん坊のことでさえ、全部納得できる気がした。そうか、すべてがこのときへと向かっていたんだと、そう思えたんだ―


そこまで思えた出会いでさえ、最後はこうなってしまう悲しさ。
これも必然だったんでしょうか。
私はもう一歩で祥子のようになるところでした。
高校時代、この本を読んだ時は祥子が許せなかったけど
今ならなんとなくわかる気がします。
そこまでしても、愛する人をつなぎとめたかったんだと。


村山由佳の作品の中で、私はこの作品が一番残酷に思えます。
お互い、生きているのに、いつかまた会う日が来るのに
一緒にいることを選ばなかったから。


★★★★★