めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

ある家族の近代(再読)


自分のルーツのお話。母方のルーツは典型的な関東近郊の町の農家の二男坊が、次ぐ家もなく、明治から昭和にかけての社会変化の大きかった時代を労働者として生きてきた。そんなどこにでもあるようなお話。本序盤のち密さは、著者が実際に知っている「ひと」の登場でトーンや勢いが変わってしまうのが残念なところ。

私の母方の祖父の母である曾祖母は頑固者で、どこにでも首を突っ込みたがり、正義感にあふれ、大ざっぱで、結構キョーレツな性格だったそうだ。その曾祖母の夫である曽祖父は穏やかで几帳面で琵琶を弾いていた(サラリーマンだけど)。そんな母方ではなにかで集まるときに、「この人のああいうところはうめばあさん(曾祖母)の血だ、ああいうところは林平さん(曽祖父)の血だ」という話になる。祖父の妹である大叔母なんて曽祖父そっくりの顔立ちだし、母の自己流料理は曾祖母由来、叔母のがんこさは曾祖母由来でどこか芸術家肌なのは曽祖父由来。祖父の几帳面さは曽祖父由来。

結局のところ、キョーレツな性格は血だな、あははと思ったけれども、こうして自分の知らない何代前もの人たちの血を発見することが単純にうれしく思う。、そして、何よりもその家族の足跡が残っていることは貴重だと思う。ちなみに文中に私は出てきません。

4818810991ある家族の近代
木村 千恵子
日本経済評論社 2000-01

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