めごめも!

ひとりと1匹の生活記録。

国の研究資金の配分の男女差

大事な論文なんだけど、普段と経路が全く違うから、用語の使い方からしていいのかちょっと自信ないですね・・・。

どちらにしても、カナダの政府研究資金のデータを分析したら、女性研究者の応募の方が男性研究者の応募よりも採択される割合が低かったのとのこと。そしてその低さは、主任研究者としての女性の評価が低いことで、女性研究者が提案する研究の質が低いことではないとのこと。この結論を出すデータの議論が読んでも読んでもよくわからないのと、どのデータから出してるのかいまいちよくわからないのと、そもそも本文中の「Success」とは何を示すのかがよくわからない(単に助成金が採択されることなのか、助成金採択後の研究成果の質まで含まれるのか)がよく読み取れないのと、カナダの公的資金の採択方法がよくわからないので、色々疑問だらけです。

ただ、日本の科研費でもこういう研究できるんじゃないかなあと思ったりしました。あと、うまく読み取れなかったんだけど、たぶん評価者に無意識の性別に対するバイアスがあるみたいなことが書いてあって、確かにそれは私もあると思うんです。それは無意識すぎて、男性側はたぶん問題だと思っていない、だからこそ、アファーマティブアクションが大事なんだろうな、と思ったりしました。

Are gender gaps due to evaluations of the applicant or the science? A natural experiment at a national funding agency.
www.ncbi.nlm.nih.gov

全般性不安障害の薬物治療に関するメタアナ

ネットワークメタアナリシスで、全般性不安障害に対する薬物治療の効果を分析したメタアナ。対象となっている研究の数は89件、対象患者は25441人。思っていたより対象患者が少ないなあという印象。小規模トライアルが多いんでしょうね。全ての研究がHamilton Anxiety Scale(HAM-A)を評価に用いていたそうで、へえ・・・全てかあと感じましたがまあそういうもんなのかな?なので、主要エンドポイントはこのHAM-Aの差で見る有効性と、追跡期間中の早期中止者で見る認容性。

薬の種類で見ると、パロキセチンベンゾジアゼピンも有効だったが、プラセボに比べ追跡期間中の早期中止者が多く、ミルタザピン、セルトラリンフルオキセチン、ブスピロン、アゴメラチンは有効で認容性も高かったけれども、N数が少ないのでエビデンスとして高いわけではないとのこと。

とはいえ、第一選択薬が効果が無い場合も、効果が示される治療薬が複数あるので、薬物治療を即断念するという必要は無いとの結びでした。

Pharmacological treatments for generalised anxiety disorder: a systematic review and network meta-analysis.
www.ncbi.nlm.nih.gov

medical.nikkeibp.co.jp

ネットワークメタアナリシスはこちら。

www.slideshare.net

テレビの健康番組を見ている女性は死亡率が低い

日本の研究グループからの発表(プレスリリースついてます)。女性だけ、テレビの健康番組見てると死亡率が下がるんですよね。有意に。新聞メディアでもネットでもなくテレビなんだなあ・・・。これはこの年代だけで、他に当てはめることになったらその世代が一番信じるメディアとかになるんだろうか・・・。その変容に興味がありますね。あとなんで女性だけなんだ?っていうところも興味深いです。

プレスリリースにあるように『ただし、「健康番組を見ると死亡率が下がる」といった因果関係は、本研究から言及することは出来ないので留意が必要です(健康意識が高い人ほど健康番組を見る、という因果の逆転が生じている可能性があります)。』というわけで、因果の逆転は否定できません。

Association between exposure to health information and mortality: Reduced mortality among women exposed to information via TV programs.
www.ncbi.nlm.nih.gov

https://www.jages.net/pressroom/?action=cabinet_action_main_download&block_id=1900&room_id=919&cabinet_id=155&file_id=3752&upload_id=5222

長期的にはメトフォルミン飲んだ方が痩せが持続する?

3234人のグルコースレベルが上昇していて、肥満または過体重の対象を、メトフォルミン投与、ライフスタイル改善介入、プラセボの3群に分けて効果を見た研究。なのに本文の結論の一番最初は年齢が高くて、1年目で体重の減少が顕著だった対象がその後14年の体重減少を予測するとか書いてあってのけぞる。もうすでに、3群のどれがいいかって論文は他から出てるんだろうか・・・。RCTなのに、全体の効果を書かずに体重減少が5%未満、5%以上とか分けて解析している意味がわからないし、もやもやする論文です。

まあ1年目の体重減少がライフスタイル改善が一番大きいけど、14年とか長期になるとメトフォルミン投与の方が影響が大きいみたい・・・な話なんですが、投与終了してから10年もたってからでもメトフォルミン群で体重減少してるままだし、一体どういうメカニズムなんですかね。個人的にはなんでメトフォルミンでそうなのかもっと突っ込んで書いてほしかったけどそこまで突っ込まれているわけじゃないので、もやもや消化不良です。

www.ncbi.nlm.nih.gov

糖尿病やHbA1Cと早産リスク

スウェーデンの研究です。妊娠時に1型糖尿病だった人の早産リスクを見ています。HbA1Cが高くなるとリスク高くなるって、まあ、うん・・・って感じですね。この研究がすごいのはやっぱり北欧だなーという元のデータセットの巨大さ。元々のデータセットが16万と巨大にもかかわらず、1型糖尿病が2500人弱なので、データベースの強さを見せつけるような研究でした(そこしか興味ないかな・・・)。

Maternal Glycemic Control in Type 1 Diabetes and the Risk for Preterm Birth: A Population-Based Cohort Study.
www.ncbi.nlm.nih.gov

195カ国の死亡に対する栄養摂取の影響

毎度おなじみGrobal burden of diseaseからの発表@Lancetです。ファンディングはビル&マリンダ・ゲイツとこれまたおなじみ。

2017年では、11,000,000の死亡と、255000000のDALYが栄養要因に起因するとかで、地域別にどういう食べ物の摂取が多くて、どういう死因が多いかって羅列してあるんですが、個人的には地域もさることながら、過去からの変容がどんなもんじゃい、というのに興味があったので、GBDらしくそのあたりも本文にぶちこんでほしかったです。あとは、アフリカとか戦争とか干ばつとかそういう影響もあると思うので、そういう心配がなくなったときにはたして栄養が死亡やDALYに及ぼす影響って言うのはどうやって変わってくるのか気になるところですね。不健康な食事って言うと、私たちはジャンクフードとか油ギトギトのものを想像してしまうけど、そこに至る前の質素な食事で過ごしている地域もあるわけで、それも不健康な食事になるわけじゃないですか。栄養過多と栄養が少ないのを、全部一緒くたに不健康な食事、としていいのかなって。

Health effects of dietary risks in 195 countries, 1990-2017: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2017.
www.ncbi.nlm.nih.gov

www.seikatsusyukanbyo.com